企業の動画BGMでおすすめを選ぶ4つの評価基準
音源サブスクの比較記事は「曲数が多い」「音質が良い」で並べられがちです。ところが企業の動画に当てはめると、優先順位はまったく変わります。理由ははっきりしていて、企業の映像は作った本人が公開を決められないからです。個人のYouTuberなら気に入った曲をそのまま乗せて終わりますが、会社紹介動画や採用動画は上長・広報・法務、あるいは発注元のクライアントの確認を通ってから世に出ます。
つまり企業の動画BGM選びは、音の好みを競う作業ではなく、説明できる素材を用意する作業です。「なぜこの曲なのか」「権利は大丈夫か」「差し替えを頼まれたらどうなるか」に答えられる状態を先に作っておくと、制作の後半で作業が止まりません。
ここでは、企業の動画にBGMを使うときに効いてくる評価基準を4つに整理しました。ランキングの順位も、この4つで各社を見比べた結果です。
ロイヤリティフリーとは、一度契約すれば使うたびに追加の使用料が発生しない仕組みのことです。著作権が無いという意味ではないため、契約の範囲を外れた使い方はできません。
基準1|自社名義の動画で使い切れる契約か重要度:★★★★★
最初の関門は権利です。音源サブスクの安いプランは、多くが個人が自分の作品に使うことを前提に作られています。企業名義の動画は個人向けプランでは使えません。会社の採用動画や企業VPは、その会社が公開する営利目的の作品にあたるため、商用利用が明記されたプランが必要になります。
見落とされやすいのが、最安値だけを見て契約してしまうケースです。Soundstripeの最安プランは商用利用できません。個人がYouTubeの1チャンネルで使う前提の枠なので、企業の映像に使うにはPro以上へ上げる必要があります。比較サイトの月額だけを並べて稟議に出すと、あとで金額が変わって出し直しになります。
契約の名義や人数枠、社内共有の範囲まで含めた権利の話は、それだけで一本の記事になる論点です。詳しくは企業の動画BGMの商用利用で解説しているので、契約前に一度目を通しておくと安心です。この記事で紹介する7社はいずれも商用利用に対応していますが、対応するプランの位置が会社ごとに違う点だけ押さえてください。
基準2|候補を複数出して社内に見せられるか重要度:★★★★★
企業の動画で個人の制作と決定的に違うのが、選曲が一人で完結しない点です。編集担当が「これがいい」と思った1曲を、そのまま公開まで持っていける現場はほとんどありません。試写の場で「もう少し明るいほうがいい」「若い人に刺さる感じにしてほしい」と意見が出ます。
ここで効くのが、候補を並べて見せられるかどうかです。企業の動画BGMは3案そろえて見せます。1案だけを持っていくと、その場の感覚で否定されて振り出しに戻ります。方向性の違う3案を仮の状態で映像に乗せて見せると、議論が「好き嫌い」から「どれが会社らしいか」に変わります。
候補を見せる前に確認したい3つの視点
- 試聴だけで判断できるか…契約前や仮の段階でも、曲の全体像を最後まで聴けるか
- 仮の状態で映像に乗せられるか…社内の試写用に一時的に書き出せるか
- 似た曲へ辿れるか…1曲決まったあと、近い雰囲気の曲を並べて出せるか
3つ目は決裁の場でとくに効きます。「この曲の方向で、もう少し落ち着いたものはありますか」と言われたときに、その場で数曲出せると打ち合わせが1回で終わります。逆に検索し直して一覧の先頭から聴き直す作りだと、次の会議まで持ち越しになります。
基準3|差し替えが何度でも追加費用なしか重要度:★★★★☆
企業の動画は、公開前に必ずと言っていいほど修正が入ります。ナレーションの言い回し、テロップの文言、そしてBGM。ここで課金形態の違いが効いてきます。差し替え無料の定額制が企業の動画に向きます。使い放題のサブスクなら、何曲試しても追加の費用は発生しません。
一方で点数を買う形のサービスは、企業の制作と相性が悪くなる場面があります。クレジット制は差し替えのたびに残数が減ります。月に使える点数が決まっているタイプだと、3回差し替えただけで枠の大半を使い切ります。1本の動画を作るのに何曲ダウンロードするかを、契約前に一度見積もっておいてください。
もうひとつ見ておきたいのが、解約後の扱いです。企業VPは公開して終わりではなく、会社案内や展示会、営業の資料として3年も5年も使い続けます。契約中にダウンロードした曲を解約後も納品済みの作品で使い続けられるかは、長く使う映像ほど重要になります。ArtlistとAudiostockはこの点に対応しています。
基準4|企業の動画に合う曲がそろっているか重要度:★★★★☆
最後が在庫です。爽やかなインスト曲が企業の動画の定番です。会社紹介やコーポレートサイトの映像で求められるのは、主張の強い曲ではありません。ナレーションの下で邪魔をせず、映像の展開に合わせて静かに盛り上がる曲です。歌が入った楽曲は言葉同士がぶつかるため、基本的に候補から外れます。
判断材料になるのは、そうした曲がまとまった単位で並んでいるかです。「コーポレート」「ビジネス」「企業VP」といった用途のカテゴリを持つサービスなら、探す時間が大きく縮みます。日本語のイメージ語で絞り込めるかも、日本の制作現場では効いてきます。曲数そのものより、自社の映像に合う棚があるかを見てください。
制作会社に編集を依頼している場合は、音源の契約を誰が持つかも先に決めてください。制作会社の契約で作った動画を、そのまま自社の別の媒体へ流用できるとは限りません。
企業チャンネルの定番へ
企業の動画BGMにおすすめの音源サブスクランキング7選
ここからは、4つの評価基準で音源サブスク7社を比べたランキングを紹介します。人気や知名度だけで並べたものではなく、会社紹介動画や採用動画を作って社内の確認を通す流れに、どれだけ無理なく乗るかで順位を付けました。曲数が最多の会社が1位とは限らない点に注目してください。
迷ったときの結論
自社チャンネルで動画を出し続けるならEpidemic Sound、稟議と請求書払いを重視するならAudiostockの2択で考えると決めやすくなります。
1位|Epidemic Sound(エピデミックサウンド)重要度:★★★★★

| 月額 |
1,490円〜/月 (年払い) |
| 商用プラン |
1,490円〜/月 |
| 複数人利用 |
2人〜 (Business) |
| BGM/効果音 |
約5.5万/約25万 |
| 日本語サポート |
英語のみ |
| 差し替えの追加費用 |
 |
企業チャンネルを伸ばすなら
Epidemic Soundは、動画を継続して出す人に向けて作られた音源サブスクです。4つの基準すべてで大きな穴が無く、企業の動画制作にきれいに当てはまります。自社チャンネルの収益化まで一社で通せます。会社紹介動画をコーポレートサイトに置き、同じ映像をYouTubeの企業チャンネルにも出す使い方に無理がありません。
ダウンロードが無制限なので、差し替えを何度頼まれても費用は増えません。試写で「もう少し明るく」と言われて3案作り直しても、追加の請求は発生しない仕組みです。曲は雰囲気やテンポで絞り込めて、選んだ1曲から似た曲へ移動できます。候補を並べて見せる進め方とも相性が良い作りです。
複数人で使う場合はBusinessプランが用意されています。年間一括で月5,000円、2人まで対応する枠です。制作担当とマーケティングの担当者が2人体制で運用している会社なら、ここが基準になります。さらに人数が必要ならBusiness Plusで最大10人まで広がります。
Epidemic Soundのメリット
- ダウンロードが無制限で差し替えに強い
- 企業チャンネルの収益化にも対応できる
- 効果音が約25万音あり、映像のアクセントにも使える
- 30日間の無料トライアルで探しやすさを試せる
Epidemic Soundの注意点
- 画面と規約が英語中心で、法務の確認に時間がかかる場合がある
- 請求書払いは上位プランに限られる
- 解約後の扱いは契約期間中のダウンロード分に限られる
日本語での契約書類が必須という会社では、この英語の壁が最後に効いてきます。逆に、自社で動画を作り続けるスタイルが固まっている会社にとっては、費用と手間のバランスが最も良い選択肢です。
2位|Artlist(アートリスト)重要度:★★★★★

| 月額 |
1,590円〜/月 (年払い) |
| 商用プラン |
6,290円〜/月 |
| 複数人利用 |
最大7人 (Max Business) |
| BGM/効果音 |
約3万/約5万 |
| 日本語サポート |
英語のみ |
| 差し替えの追加費用 |
 |
企業VPの品質を上げるなら
Artlistは、洗練された楽曲の世界観で映像の格を一段上げたい会社に向いています。企業VPは会社の顔になる映像なので、曲の質がそのまま企業イメージにつながります。ブランディングを重視する制作では、この一点で選ばれることが少なくありません。
企業の映像にとって大きいのが、解約後も納品済みの作品で使い続けられる点です。会社案内の動画は展示会や説明会で何年も回します。契約を止めたあとに映像を作り直す必要が無いのは、長期で使う企業VPと相性が良いところです。
複数人で使うMax Businessは最大7人まで対応します。ただし価格帯は個人向けと大きく変わるため、まずは誰が実際に触るかを数えてから検討してください。1人で編集まで担当している体制なら、下位のプランから始める判断もできます。
Artlistのメリット
- 楽曲の世界観が強く、企業VPの印象を作りやすい
- 契約中にダウンロードした曲は解約後も作品に残せる
- 日本向けの円建て価格で、為替の影響を受けにくい
- 無料登録で検索と試聴ができ、候補出しに使える
Artlistの注意点
- 本格的な商用利用の枠は月6,290円からと価格帯が上がる
- 曲数は約3万と多くはなく、量で探す使い方には向かない
- 日本語サポートは無く、規約は英語で読む必要がある
曲数の少なさは弱点に見えますが、企業の動画では選択肢が絞られているほうが決めやすい場面もあります。方向性が定まっている会社ほど、この作りが合います。
3位|Audiostock(オーディオストック)重要度:★★★★★

| 月額 |
858円〜/月 (年払い) |
| 商用プラン |
2,365円〜/月 |
| 複数人利用 |
15人まで対応 |
| BGM/効果音 |
約49万/約50万 |
| 日本語サポート |
国産・日本語 |
| 差し替えの追加費用 |
 |
30日間無料で試すなら
Audiostockは、社内の確認を通す手間がいちばん軽い音源サブスクです。国産のサービスで規約も画面もすべて日本語なので、法務や総務に確認を回すときに翻訳の作業が発生しません。稟議の場で「この規約のここに商用利用と書いてあります」と示せる状態は、思っている以上に強い材料になります。
支払い方法の幅も企業向きです。クレジットカードだけでなく、法人の請求書払いに対応しています。カード決済が使えない部署でも導入できるため、経理の都合で止まりません。人数が必要な場合はエンタープライズプランが用意されていて、15人までなら月24,200円という形で枠が決まっています。
曲は約49万、効果音は約50万と国内では圧倒的な在庫です。日本語のイメージ語で検索できるので、「爽やか」「企業VP」「明るい」といった言葉がそのまま検索語として使えます。単品購入もできるため、年に1本しか動画を作らない会社なら、サブスクを契約せず必要な曲だけを買う進め方も選べます。
Audiostockのメリット
- 規約もサポートも日本語で法務の確認が早い
- 法人の請求書払いに対応している
- 日本語のイメージ語で検索でき、探す時間が短い
- 単品購入もでき、制作本数が少ない会社でも使える
Audiostockの注意点
- 最安の動画配信者プランは本人の配信用途に限られる
- ダウンロードは1日100回までの上限がある
- 海外向けの映像では曲の雰囲気が国内寄りに感じる場合がある
最安プランの用途制限だけは注意してください。会社の動画に使うならスタンダードプラン以上が必要です。それでも月2,365円で、社内説明のしやすさまで含めれば十分に安い選択肢です。
4位|Soundstripe(サウンドストライプ)重要度:★★★★☆

| 月額 |
9.99ドル (約1,500円) |
| 商用プラン |
19.99ドル (約3,000円) |
| 複数人利用 |
3人 (Business) |
| BGM/効果音 |
約5.8万/約9万 |
| 日本語サポート |
英語のみ |
| 差し替えの追加費用 |
 |
海外品質の企業映像なら
Soundstripeは海外のプロ制作会社に人気が高く、質の高い楽曲がそろっています。日本での知名度はこれからですが、海外向けのコーポレート映像や、外資系企業の日本法人が作る動画では選ばれやすいサービスです。ダウンロードは無制限なので、差し替えの心配もありません。
注意点は契約の入口です。最安のPersonalは商用利用の対象外で、YouTubeの1チャンネルに限った個人向けの枠になります。企業の動画に使うならPro以上が必要で、月19.99ドル(約3,000円)からが実質的な出発点です。比較サイトの最安値だけを見て稟議を出すと、金額が変わって差し戻しになります。
3人までのBusinessプランも用意されていますが、月69.99ドル(約10,500円)と価格は上がります。人数の枠だけで選ぶなら他社のほうが条件が良い場合もあるため、実際に触る人数を数えてから比べてください。
Soundstripeのメリット
- 海外のプロ層に支持される高品質な楽曲がそろう
- ダウンロードが無制限で試し放題
- 効果音も約9万音あり、映像の演出に使える
Soundstripeの注意点
- 最安プランは商用利用できず、企業の動画には使えない
- 無料トライアルが無く、契約前に中身を試しにくい
- 日本語のサポートと規約が無い
無料トライアルが無い点も、社内の合意を取ってから契約する企業にとっては動きにくいところです。方向性が固まっている制作チーム向けの選択肢と考えてください。
5位|Motion Array(モーションアレイ)重要度:★★★★☆

| 月額 |
24.99ドル (約3,750円) |
| 商用プラン |
24.99ドル (約3,750円) |
| 複数人利用 |
要問い合わせ |
| BGM/効果音 |
約2.3万/約1.3万 |
| 日本語サポート |
英語のみ |
| 差し替えの追加費用 |
 |
映像制作を一本化するなら
Motion Arrayは、映像編集の流れを一つにまとめたい会社に向いています。Premiere ProやAfter Effects用のテンプレートが強力で、企業VPの冒頭に入れるロゴアニメーションやテロップの動きまで、同じ契約の中でそろえられます。BGMもその一部として使える構成です。
自社で映像を内製している会社なら、ここが効いてきます。テンプレートと音源を別々に契約するより費用が抑えられ、素材の管理も一箇所で済みます。AIナレーションの機能もあり、社内向けの説明動画を短時間で作成したい場面にも使えます。
ただし音楽を使うにはEverythingプラン以上が必要です。下位プランには音楽が含まれないため、BGM目的で最安プランを契約すると目的を果たせません。曲数も約2.3万と多くはないので、音源単体で選ぶ会社には向きません。
Motion Arrayのメリット
- 編集テンプレートとBGMを1契約でまとめられる
- ダウンロードが無制限で作り直しに強い
- AIナレーション機能で社内向け動画も作りやすい
Motion Arrayの注意点
- 音楽を使うにはEverythingプラン以上が必要になる
- 曲数は約2.3万と控えめで、選択肢は多くない
- 複数人の枠は問い合わせが必要で、金額が読みにくい
映像を内製していて編集ソフトもAdobe中心という体制なら候補に入ります。音源だけを探している段階なら、上位の3社を先に見てください。
6位|Envato(エンバト)重要度:★★★★☆

| 月額 |
16.50ドル (約2,500円) |
| 商用プラン |
16.50ドル (約2,500円) |
| 複数人利用 |
109ドル (約16,400円) |
| BGM/効果音 |
約34万/約94万 |
| 日本語サポート |
英語のみ |
| 差し替えの追加費用 |
 |
映像素材ごとそろえるなら
Envatoは音楽だけでなく、動画テンプレート・写真・イラスト・フォントまで一つの契約で使える総合素材サービスです。会社案内の映像を作るとき、必要になるのはBGMだけではありません。背景の映像素材、サイトに載せる写真、資料に使うフォントまで含めて考えると、この一括契約の価値が見えてきます。
曲数は約34万、効果音は約94万と全社でも最多クラスです。量で探したい会社には十分すぎる在庫があります。永続的な商用ライセンスが付くのも企業向きで、ダウンロードした素材はその後も作品の中で使い続けられます。
複数人で使う枠はUltimateプランで、月109ドル(約16,400円)と価格が跳ね上がります。音源だけを目的にすると割高になるため、映像素材やデザインの素材も含めて使う前提で判断してください。
Envatoのメリット
- BGM・映像・写真まで1契約でそろう
- 効果音は約94万音と全社最多クラス
- 永続的な商用ライセンスで、あとから使い直せる
Envatoの注意点
- 音楽に特化したサービスではなく、曲の探しやすさは中程度
- 複数人で使う枠は月109ドル(約16,400円)と高い
- 無料トライアルが無い
素材をまとめて調達している会社なら、費用対効果は高くなります。音源の質だけで選ぶなら上位のサービスが向きます。
7位|Adobe Stock(アドビストック)重要度:★★★☆☆

| 月額 |
3,828円〜/月 (年払い) |
| 商用プラン |
3,828円〜/月 |
| 複数人利用 |
グループ版あり |
| BGM/効果音 |
数万〜/数万〜 |
| 日本語サポート |
日本語 |
| 差し替えの追加費用 |
 |
Adobe環境で完結させるなら
Adobe Stockは、すでにAdobe Creative Cloudを契約している会社にとって導入の負担が小さい選択肢です。Premiere ProやAfter Effectsの中から直接素材を探して配置できるため、編集の手が止まりません。日本語の画面とサポートがある点も、社内で使う上では安心の材料になります。
企業向けにはグループ版のサブスクも用意されていて、部署単位での管理がしやすい仕組みです。画像や動画素材を日常的に購入している会社なら、音楽もその枠の中で調達できます。
弱点は課金の形です。音楽は1点につき1クレジットを消費する仕組みで、月10クレジットのプランなら10点までしか取れません。BGMを差し替えるたびに残数が減るため、修正が多い企業の動画とは相性が良くありません。音源を目的に新しく契約するサービスではなく、すでにAdobeの環境がある会社の追加の手段と考えてください。
Adobe Stockのメリット
- Premiere Proの中から直接探して配置できる
- 画面もサポートも日本語で社内に説明しやすい
- 部署単位で管理できるグループ版がある
Adobe Stockの注意点
- クレジット制のため差し替えのたびに残数が減る
- 音楽専用のプランが無く、音源単体では割高になる
- 曲数は非公表に近く、音源特化のサービスには及ばない
Adobe Creative Cloudを全社で契約している会社なら、追加の稟議を出さずに使い始められる点は大きな利点です。音源を主な目的にする場合だけ、他社と比べてください。
企業の動画に迷ったらまず
会社紹介動画と採用動画で変わる企業BGMのおすすめの選び方
企業が作る動画とひと口に言っても、見る人も目的も別物です。会社紹介動画を見るのは取引先や株主で、採用動画を見るのは就職や転職を考えている人です。同じ曲を全部に使い回すと、どちらの相手にも届かない中途半端な印象になります。
一方で、すべての映像でバラバラの曲を使うのも得策ではありません。会社の映像がいくつも並んだとき、音のトーンがそろっていればブランドとしての一貫性が出ます。用途ごとに曲を変えつつ、全体の空気は一本の線でつなぐ。この使い分けが企業の動画では効いてきます。
会社紹介動画(企業VP)は落ち着いた爽やかさでそろえる重要度:★★★★★
会社紹介動画は、取引先や採用候補者、株主まで幅広い相手が見ます。そのため曲に求められるのは、誰が聴いても引っかからない安定感です。ピアノやストリングスを中心にした爽やかなインスト曲が定番になるのは、この理由からです。
構成にも型があります。多くの企業VPは、事業の課題を提示して、自社の取り組みを紹介し、これからの展望で締めるという流れです。BGMもこの流れに合わせて、静かに始まり、中盤で厚みが出て、終盤で伸びる曲を選ぶと映像と噛み合います。曲の長さは3分から5分が目安なので、途中で切らずに使える尺のものを探してください。
検索するときは「コーポレート」「企業VP」「爽やか」「明るい」といった言葉から入ります。日本語のイメージ語で探せるサービスなら、この段階が一気に短くなります。
採用動画は候補者の目線でテンポを決める重要度:★★★★★
採用動画は会社紹介と目的が違います。見ているのは、その会社で働くかどうかを迷っている人です。採用動画は候補者の視点で音を選びます。会社の立派さを伝える曲より、そこで働く人の空気が伝わる曲のほうが響きます。
具体的には、企業VPよりテンポを少し上げて、明るさを強めた曲が合います。社員のインタビューが中心なら、声の邪魔をしない軽めの編成にしてください。オフィスや現場の映像が中心なら、動きに合わせてリズムのある曲でも成立します。
学校の合同説明会や就職イベントで流す場合は、音量が大きめの会場で再生される前提も考えておきましょう。低音が強すぎる曲は会場で膨らんで聞き取りにくくなります。事前に小さいスピーカーで一度確認しておくと、当日に慌てません。
展示会やイベントのループ再生は条件が変わる重要度:★★★★☆
展示会のブースやショールームで流す映像は、同じ動画を何時間も繰り返し再生します。この使い方は、1回の視聴を前提にした動画とはまったく別の条件になります。印象の強い曲を選ぶと、ブースにいるスタッフが数時間で疲れてしまいます。
もうひとつ確認したいのが権利の範囲です。会場での上映は契約の範囲外になる場合があります。ウェブ配信を前提にしたプランでは、公共の場での再生が別扱いになることがあります。展示会での上映やデジタルサイネージへの掲出を予定しているなら、契約前に対応する範囲を確認してください。
YouTubeの企業チャンネルは1曲を看板にする重要度:★★★★☆
自社でYouTubeのチャンネルを運用している会社なら、考え方がまた変わります。動画が並ぶ一覧で見られるため、投稿ごとに曲を変えていると統一感が出ません。オープニングだけ同じ曲を使い、本編は内容に合わせて変える作り方が定番です。
企業チャンネルで収益化を検討している場合は、その用途に対応した契約かどうかも確認してください。マーケティングの一環としてチャンネルを伸ばしている会社では、この点が後から問題になりやすいところです。導入の事例を見ると、収益化まで視野に入れている会社ほど早い段階でサブスクへ切り替えています。
企業VPの品質を上げるなら
ナレーション主体の企業動画に合うおすすめBGMの探し方
企業の動画はナレーションとテロップで情報を伝える作りが基本です。つまりBGMは主役ではなく、声を支える土台になります。ここを取り違えて「良い曲」を選ぶと、聞き取りにくい映像ができあがります。ナレーションの下で鳴らす曲には、はっきりした条件があります。
声の下で鳴らす曲に共通する3つの条件重要度:★★★★★
声の帯域を空けた曲だけを候補に残します。人の声は中音域に集まるため、同じ帯域でメロディが動く曲を重ねると言葉が埋もれます。ピアノやストリングスの伸びる音が土台に向くのは、声とぶつかりにくいからです。
ナレーションの下に敷ける曲の条件
- 歌が入っていない…言葉と言葉が正面からぶつかるため候補から外す
- メロディが動きすぎない…主旋律が細かく動くと耳が音楽に持っていかれる
- 音数が少ない…楽器が多いほど声の居場所が減る
歌ものは言葉がナレーションと衝突します。これは音量を下げても解決しません。歌詞のある曲を使えるのは、ナレーションが入らない映像の区間だけです。オープニングの数秒だけ歌ものを使い、本編に入ったら別の曲に切り替える作り方なら成立します。
音量の設定は、ナレーションを基準に決めてください。先に声を適正な大きさに整えてから、BGMを下げていきます。BGMを先に決めると、あとから声を上げることになって全体が破綻します。編集の順番だけで仕上がりの印象は大きく変わります。
検索で使うイメージ語と英語の言い換え重要度:★★★★☆
海外のサービスを使う場合、日本語の感覚をそのまま英語に置き換えられないと検索の時間が伸びます。企業の動画でよく使う言葉には、対応する英語の定番があります。
「爽やか」はupliftingやbright、「落ち着いた」はcalmやgentle、「企業向け」はcorporateやbusiness、「未来的」はinspiringやtechnologyで探すと近い曲に辿り着きます。ナレーション向けの曲を探すならbackground、minimal、ambientも合わせて試してください。
日本語で探せるサービスなら、この置き換えの作業そのものが不要になります。国内向けの映像を作る会社で、社内の複数の人が素材を探す体制なら、日本語で検索できるかどうかが作業時間に直結します。
無料のフリーBGMサイトで足りない場面重要度:★★★★☆
無料で使えるフリーBGMのサイトは数多くあり、海外では「no copyright music」という言葉でも探されています。個人の趣味の動画なら、それで十分に足ります。ただし企業の動画では止まる場面が出てきます。
止まるのは、権利の情報を後から追えないときです。無料サイトは規約が変わったりページごと消えたりすることがあります。3年後に「この曲の権利はどうなっていますか」と聞かれて答えられない状態は、企業にとって小さくないリスクです。定額制のサービスなら契約という形で記録が残るため、この不安がありません。
もうひとつはクレジット表記です。無料素材は制作者名の表示を条件にしているものが多く、企業VPの画面に個人名を出す形になります。ブランドの映像でこれを避けたい場合は、表示が不要な有料サービスを選ぶことになります。
日本語で探す速さなら
社内の確認を通す企業動画BGMのおすすめの決め方
企業の動画制作でいちばん時間を取られるのは、実は編集ではなく合意を取る工程です。良い曲を選んでも、決裁の場で一言「なんか違う」と言われれば作り直しになります。ここは進め方を変えるだけで、かかる時間を大きく減らせます。
候補は3案を映像に乗せて出す重要度:★★★★★
音源だけを聴かせて判断してもらうのは避けてください。曲は映像と合わせて初めて印象が決まります。ナレーションとテロップが入った状態で3案を作り、続けて見てもらう形にすると、判断が一度で済みます。
3案の作り方にもコツがあります。似た曲を3つ並べても違いが伝わりません。「落ち着いた王道」「明るく前向き」「テンポのある現代的」のように、方向性をはっきり分けてください。そうすると意見が「どれが会社らしいか」という話に変わり、感覚の言い合いになりません。
このときに効いてくるのが、契約前や仮の段階でも曲を使えるかどうかです。試聴だけで判断が難しいサービスもあるため、無料トライアルのある会社で候補出しの工程を試しておくと安心です。
差し替えの回数を契約前に見積もる重要度:★★★★☆
差し替えの回数は契約前に見積もります。1本の企業VPを作るのに、実際は何曲ダウンロードすることになるかを数えます。3案を出して1つに絞り、そこから2回修正が入れば、それだけで5曲です。年に4本作るなら20曲になります。
この数字が出れば、定額制と点数制のどちらが合うかは自動的に決まります。年に20曲を超えるなら使い放題の定額制、年に数曲で収まるなら単品購入という判断です。Audiostockのように単品とサブスクの両方を持つサービスなら、制作の本数が変わっても契約を変えるだけで対応できます。
制作会社に依頼している場合は、差し替え1回あたりの追加費用が見積もりに含まれているかも確認してください。音源の契約が制作会社側にあると、差し替えのたびに作業費が発生する契約になっていることがあります。
権利の証跡は誰が保管するか決める重要度:★★★★☆
企業の動画で最後に効いてくるのが記録です。口頭の許可だけでは証跡になりません。数年後に担当者が異動したり退職したりしたあと、この曲はどこの何を使ったのかを誰も答えられない状態になります。実際に企業の映像でトラブルになるのは、権利が無かったときより、権利を証明できなかったときです。
残しておくのは難しいことではありません。契約のプラン名、ダウンロードした日、曲のタイトルと素材の番号、そしてどの動画に使ったか。この4つを一覧にして共有の場所に置いておけば足ります。作成にかかるのは数分です。
日本語で規約が読めるサービスを選んでおくと、この工程も楽になります。法務に確認を回すときに翻訳が要らず、社内の誰が見ても内容が分かる状態になるためです。国産のサービスが企業で選ばれ続けている理由は、曲の良し悪しより、こうした運用のしやすさにあります。
企業チャンネルの定番へ
企業の動画BGMおすすめのよくある質問
企業の動画に無料のフリーBGMを使っても問題ありませんか?
規約の範囲内であれば使えます。ただし企業の映像は数年にわたって使い続けるため、後から権利を確認できる状態が重要になります。無料サイトは規約の変更やページの終了が起きやすく、証明が難しくなる場面があります。会社の名前で公開する動画であれば、契約の記録が残る有料サービスのほうが安心です。
会社紹介動画と採用動画で同じBGMを使ってもいいですか?
契約上は問題ありませんが、伝わり方は変わります。会社紹介は取引先向け、採用動画は候補者向けと、見る相手も目的も違うためです。オープニングだけ同じ曲でそろえて、本編は用途に合わせて変える作り方なら、統一感と伝わりやすさを両立できます。
制作会社に依頼した動画のBGMは自社で使い回せますか?
契約の内容によります。制作会社が持っている音源の契約で作られた動画は、そのまま別の媒体へ流用できるとは限りません。納品のときに、どのサービスのどのプランで契約された素材かを確認しておいてください。自社の展示会やサイトでも使う予定があるなら、発注の段階で伝えておくと後の手戻りが減ります。
企業VPの尺に合う長さの曲はどう探しますか?
多くのサービスは曲の長さで絞り込めます。3分から5分の企業VPなら、同じくらいの尺の曲を選ぶと途中で切らずに使えます。長さが足りない場合は、同じ曲を自然につなぐか、盛り上がりの手前で映像を締める作り方に変えると違和感が出ません。短い版が用意されている曲もあるので、素材のページで確認してみてください。
展示会やショールームでの再生も契約に含まれますか?
会社ごとに扱いが異なります。ウェブでの公開を前提にしたプランでは、公共の場での上映が別の扱いになる場合があります。展示会やデジタルサイネージでの再生を予定しているなら、契約の前に対応する範囲を確認してください。国内のサービスなら日本語で問い合わせができるため、この確認も短時間で終わります。
解約したあとに公開中の企業動画はどうなりますか?
契約中にダウンロードした曲を使った作品は、解約後もそのまま残せる会社があります。ArtlistとAudiostockがこれにあたります。企業の映像は公開してから何年も使い続けるため、この点は契約前に必ず確認してください。条件は会社ごとに違うので、プランの内容まで見ておくと安心です。
AIで作った音楽を企業の動画に使ってもいいですか?
使えるかどうかはツールの規約によります。生成した音源の権利がツール側に残る場合や、商用での利用に条件が付く場合があります。企業の動画では、誰の権利で使っているかを説明できることが求められるため、規約を読んで判断してください。迷う場面が多いなら、契約の形がはっきりしている音源サブスクのほうが運用は楽になります。
企業の動画BGMおすすめのまとめ
企業の動画BGM選びは、自分が気に入る曲を探す作業ではありません。社内やクライアントの確認を通して、数年先まで説明できる状態を作る作業です。自社名義で使い切れる契約か、候補を複数出して見せられるか、差し替えに追加費用がかからないか、企業の映像に合う曲がそろっているか。この4つで見比べると、7社の順位ははっきり分かれます。
総合ではEpidemic Soundが最も企業の動画制作に合います。ダウンロードが無制限で差し替えに強く、自社チャンネルでの公開まで一社でカバーできるためです。映像の品質で勝負したい会社紹介動画ならArtlist、稟議と請求書払いを重視するならAudiostockが有力な選択肢になります。
まずは無料トライアルのあるサービスで、3案の候補出しを一度試してみてください。決裁の場が一度で終わるようになれば、その時間をそのまま企画や撮影に回せます。企業の動画制作では、それがいちばん効く投資です。
企業の動画向け音源サブスク7社のサービス内容比較一覧表
※料金は1ドル=約150円換算・2026年6月時点・最新は各公式サイトで要確認。BGMの数は集計基準が各社で異なるため単純比較はできません(概数・2026年6月時点)。