企業の動画でBGMを商用利用できる条件と個人向けプランとの違い
企業の動画でBGMを商用利用すること自体は、音源サブスクを使えば問題なくできます。ただし個人のYouTuberが契約するプランと、法人が業務で使うプランは対象範囲が異なります。会社紹介の動画や採用動画は会社という組織が公開する動画なので、契約者本人だけを対象にしたプランでは足りなくなります。
商用利用とは…営利を目的とした活動のなかで音源を使うことです。企業のPR動画や採用動画、製品紹介の映像はすべてここに含まれます。売上に直接つながらない社内向けの映像でも、会社の業務で使う以上は商用利用として扱われます。
企業の動画BGM商用利用で最初に見る3つの線引き重要度:★★★★★
会社の動画に音源サブスクを使うとき、最初に確認するのは次の3点です。個人の動画クリエイターであれば意識しなくてよかった項目ばかりで、どれか1つでも外れていると規約の範囲から出てしまいます。
企業の動画BGM商用利用で確認する3つの線引き
| 線引き |
個人の動画クリエイター |
企業の動画 |
| 誰の名義で契約するか |
本人のアカウント1つ |
会社名義か担当者個人かで引き継ぎが変わる |
| 何人が音源を使うか |
本人だけ |
広報と外注の編集者など複数人になりやすい |
| どこで動画を流すか |
動画共有サイトとSNS |
展示会や社内研修など画面の外にも広がる |
この3つは、後から変えるのが難しい順に並んでいます。名義を途中で法人に切り替えるとアカウントを作り直すことになり、それまでの利用履歴が残らないこともあります。企業の広報担当が動画を作り始める前に、この3点だけは社内で決めておくと後戻りが減ります。
個人向けプランが法人の動画で使えなくなる理由重要度:★★★★☆
各社の安いプランは、契約者本人が公開する動画を想定して価格が決まっています。個人向けプランは契約者本人の動画だけが対象です。会社の公式チャンネルにアップする動画は担当者個人の動画ではないため、対象から外れる場合があります。
Audiostock(オーディオストック)の動画配信者プランは月858円と手が届きやすい価格ですが、対象は契約者本人の動画に限られています。本人以外が公開する動画に使うと規約違反になります。会社のチャンネルで公開する動画は、この条件から外れると考えたほうが安全です。
Soundstripe(サウンドストライプ)のPersonalプランも同じ考え方で、Personalプランは商用利用の対象外です。企業の動画に使うならPro以上のプランが必要になります。価格の安さだけでプランを選ぶと、公開したあとで条件を満たしていないと分かる事態になりかねません。
商用利用OKと書かれていても、それはサービス全体の話であってプランごとの条件は別です。企業の広報担当が見るべきなのは、そのプランが誰の公開する動画を対象にしているかという一文です。
音源サブスクそのものの選び方や、商用利用の基本的な考え方は別の記事でまとめています。
企業の動画に使える音源なら
企業の動画BGMを商用利用するときの契約名義と支払い方法
企業で音源サブスクを使い始めるとき、担当者が自分のメールアドレスとクレジットカードで契約してしまうケースがよくあります。目の前の動画を早く作りたい場面では手っ取り早い方法ですが、会社の資産として残らないという問題を抱えます。
担当者個人のアカウントで企業の動画BGMを契約すると起きること重要度:★★★★★
個人アカウントでの契約は、その担当者が在籍しているあいだしか機能しません。担当者が異動や退職をするとアカウントにログインできなくなります。過去に使った楽曲のライセンス情報も請求書のダウンロード画面も、すべてその人のアカウントの中にあるためです。
担当者個人の名義で契約したときに困ること
- 退職や異動でログイン情報が引き継がれず、契約の中身が分からなくなる
- クレジットカードが個人名義のままで、毎月の経費精算が続く
- 過去に公開した動画でどの楽曲を使ったかを後任が追えない
- 更新のタイミングを本人しか把握しておらず、気づかないうちに解約状態になる
企業のマーケ担当や広報担当が動画制作を任される場合、契約は会社名義にしておくのが基本です。法人名義なら担当が代わっても契約を引き継げます。共有のメールアドレスをアカウントに使い、支払いも法人のカードか請求書払いにしておくと、後任への引き継ぎが1回の共有で済みます。
法人名義で企業の動画BGMを商用利用するときの支払い条件重要度:★★★★☆
企業の経理が絡むと、クレジットカード決済だけでは通らないことがあります。請求書払いに対応しているか、年間の一括払いができるか、見積書を出してもらえるかは契約前に確認しておく項目です。
Audiostockは国内の事業者で、スタンダードプランとエンタープライズプランが請求書払いに対応しています。日本語で規約が公開されているため、法務や上長への説明もそのまま渡せます。日本語で規約を示せると社内の承認が早く進みます。企業の広報担当が権利まわりの説明を求められる場面では、この差がそのまま作業時間の差になります。
法人契約の前に社内で確認しておくこと
- 支払い方法(請求書払いが必要か、法人カードで足りるか)
- 契約期間(年間一括払いが前提のプランは途中解約の扱いを確認する)
- アカウントに使うメールアドレス(個人宛ではなく部署の共有アドレスにする)
- 更新日と予算計上のタイミング(年度をまたぐ場合は経理と共有しておく)
年間一括払いを前提にしたプランは、月々払いより大きく安くなる代わりに、途中で使わなくなっても残りの期間が返ってこないことがあります。動画制作が単発の案件で終わるのか毎月続くのかを先に見立ててから、プランを決めてください。
請求書払いで契約するなら
法人の動画BGM商用利用で人数枠が足りなくなる場面
音源サブスクのプランには、何人がその音源を使えるかという枠があります。個人の動画クリエイターなら意識する必要のない項目ですが、企業では広報担当と映像担当と外注の編集者が同じ素材を触るため、すぐに枠を超えます。
企業の動画BGM商用利用は何人まで使えるかがプランで決まる重要度:★★★★★
1人向けのプランを複数人で使い回すのは規約違反にあたります。同じアカウントのIDとパスワードを部署で共有していても、規約上は契約している人数分しか使えません。編集を分担するなら人数枠のあるプランを選びます。
各社が複数人での利用を認めている最小のプランは、価格も人数も大きく違います。
音源サブスク各社の複数人利用プランと企業の動画での使いやすさ
※2026年8月時点の情報です。人数枠とプラン名は改定されることがあるため、申し込み前に各社の最新の案内を確認してください。
2人で回している広報チームであれば、Epidemic Sound(エピデミックサウンド)のBusinessプランのように少人数から始められるものが現実的です。逆に部署をまたいで15人が触るような体制なら、人数がまとまったエンタープライズ系のほうが1人あたりの負担は下がります。
外注の制作会社に企業の動画を任せる場合はどちらが契約するか重要度:★★★★☆
動画の編集を制作会社や個人の映像編集者に外注する場合、音源の契約を編集側が持つのか発注する企業側が持つのかを決める必要があります。編集者が自分のライセンスで作った動画を、企業の公式チャンネルで公開できるとは限らないためです。
企業側で契約を持っておくと、担当の制作会社が変わっても同じ音源を使い続けられます。過去の動画と音の雰囲気を揃えたい会社紹介のシリーズや、採用動画のように毎年作り直す映像ではこの形のほうが管理がラクになります。編集者側の視点で見た契約の分け方は、別の記事で詳しく書いています。
少人数のチームで始めるなら
企業VPやPR動画のBGM商用利用が社内で広がるときの注意
企業の動画は、作った部署だけで完結しません。採用動画として作った映像が会社説明会で流れ、翌年には展示会のブースでループ再生され、営業担当が客先のタブレットで見せる資料にもなります。作った時点で想定していた使い方と、実際に流れる場所がずれていきます。
企業VPは作ったときの用途と実際に流れる場所がずれる重要度:★★★★★
音源のライセンスは、どこで流すかで範囲が決まります。動画共有サイトへの投稿だけを想定して契約したのに、他部署が同じ映像を別の場所で使い始めると契約の範囲から静かに外れていきます。用途は動画を作る前に洗い出しておくのが安全です。
1本の企業動画が広がっていく典型的な流れ
- 広報が自社サイトとYouTubeに公開する(当初の想定)
- 人事が会社説明会の会場で上映する
- 営業が展示会のブースでループ再生する
- マーケが同じ映像を素材にして広告として出稿する
- 総務が社内ポータルに置いて研修の教材にする
この広がり方は、担当者が意図して起こすものではありません。せっかく作ったので使いたいという善意で進むぶん、権利の確認を挟まずに流れてしまいます。動画の格納フォルダに使用条件を書いたテキストを1枚置いておくだけでも、他部署が持ち出す前に立ち止まるきっかけになります。
動画共有サイト以外で流す企業のPR動画BGM商用利用重要度:★★★★☆
展示会での上映や店頭のサイネージ、テレビCMでの放映は、動画共有サイトへの投稿とは別の使い方として扱われることがあります。広告出稿や放送は標準的なプランの範囲外になっている場合があります。
Epidemic SoundのPro Plusプランは、配信サービスや放送での利用を含む大規模な使い方に向けた案内がされています。標準的なプランで放送まで含めてよいかは公式の案内で明示されていない部分があるため、テレビCMや館内放送の予定があるなら申し込み前に確認するのが確実です。
展示会のブースや店舗のサイネージは、動画が公開されているわけではないので見落としがちです。ただし不特定多数に向けて流している以上、動画共有サイトへの投稿と同じかそれ以上の確認が必要な用途です。
企業の広報担当が制作を依頼されたら、動画の企画書にこの映像をどこで流すかの欄を作っておくと確認が習慣になります。マーケ担当が広告出稿を考えている場合は、その時点で音源のプランが足りるかを一緒に見ておきます。
用途が広い企業動画なら
企業の動画BGM商用利用で残す証跡と解約後の扱い
企業では担当者が数年で入れ替わります。動画は公開されたまま何年も残るため、当時の契約内容を証明できる資料が手元に無いと、あとから問い合わせが来たときに答えられません。個人のクリエイターなら記憶で足りることも、組織では記録に残す必要があります。
企業の動画BGM商用利用で担当交代に備えて残す4点重要度:★★★★★
Artlist(アートリスト)は、楽曲ごとにライセンス証明書と請求書をダウンロードして保管しておくことを公式に案内しています。ライセンス証明書と請求書は必ず保存しておきます。企業の場合はこれに加えて、どの動画にどの楽曲を使ったかの対応表があると引き継ぎが一度で済みます。
企業の動画で残しておきたい証跡
- ライセンス証明書(楽曲ごとにダウンロードして共有フォルダへ)
- 請求書と契約プランの控え(契約期間が分かる形で)
- 動画と使用楽曲の対応表(公開日と公開先も一緒に書く)
- アカウントのメールアドレスと管理部署(誰に聞けば分かるかを明記)
保管場所は、動画の元データと同じ共有フォルダにまとめるのが実務的です。映像の編集データだけが残っていて、音源の証跡が担当者のパソコンにしか無いという状態は避けます。
解約後に公開中の企業動画がどうなるかは各社で違う重要度:★★★★☆
音源サブスクを解約したあと、すでに公開している動画をそのまま残してよいかは各社で条件が異なります。解約後の扱いは各社で条件が違います。企業の動画は公開期間が長いため、この違いは個人の動画より影響が大きくなります。
解約後に公開中の動画をどう扱えるか
| サービス |
解約後の扱い |
| Epidemic Sound |
契約期間中に公開した動画は解約後もそのまま残せる。解約後に新しく公開する動画は対象外 |
| Audiostock |
契約中に使った音源は解約後も引き続き使える。ダウンロードしただけで使っていない音源は対象外 |
| Artlist |
契約中にダウンロードした素材は、契約中に作って公開したものに限って続けられる |
条件が似ているように見えても、基準にしている時点が違います。ある会社のルールを他社にそのまま当てはめると判断を誤るため、契約しているサービスの案内を必ず個別に確認します。予算の都合で一度解約して後から再契約するような使い方を考えているなら、この条件は先に押さえておく項目です。
証跡を残して管理するなら
企業の動画BGM商用利用に対応できる音源サブスク3選
企業の動画で使う音源サブスクは、楽曲の数だけで選ぶと社内の運用でつまずきます。何人が使うか、社内で説明できるか、支払い方法が経理を通るかを含めて選ぶと候補が絞れます。ここでは企業の広報担当やマーケ担当が扱いやすい3社を挙げます。
Audiostock|国内事業者で社内の承認を通しやすい重要度:★★★★★
Audiostockは日本の事業者で、規約もサポートも日本語です。企業の広報担当が上長や法務に説明する場面で、規約のどの部分を根拠にしているかをそのまま示せます。ただし音楽をメインとした内容の動画には使えない決まりがあります。演奏動画や楽曲紹介の映像を作る場合は対象から外れるので注意します。
複数人で使うならエンタープライズプランになり、15人までが月24,200円からです。人数がまとまっている部署では1人あたりの負担が下がります。請求書払いに対応している点も、経理の手続きが決まっている企業では扱いやすい要素です。楽曲と効果音を合わせた素材数も多く、製品紹介の映像から採用動画まで音の雰囲気を揃えられます。
日本語で確認したいなら
Epidemic Sound|2人から使えて始めやすい重要度:★★★★☆
Epidemic Soundは、企業向けのプランが2人から用意されています。広報担当と映像担当の2人で回しているような小さなチームであれば、月5,000円から複数人での利用を始められます。楽曲は55,000曲以上、効果音は250,000音以上と数も揃っているため、動画の本数が増えても素材に困りにくい構成です。
企業向けのプランは公式サイトの個人向けタブには表示されず、ビジネス向けのタブに分かれています。個人向けの画面だけを見て複数人のプランが無いと判断しないよう、タブを切り替えて確認してください。人数が増えたときも上位のプランへ段階的に移れます。
2人チームで始めるなら
Artlist|証跡を楽曲ごとに残せる重要度:★★★★☆
Artlistは、楽曲ごとのライセンス証明書と請求書をダウンロードして保管する運用が公式に案内されています。担当者が入れ替わる企業では、この証跡がそのまま引き継ぎ資料になります。映像素材やAIナレーションも同じ契約に含まれるため、動画制作の素材をまとめたい会社にも向いています。
複数人で使うプランは7人までのものが用意されていますが、価格帯は個人向けより大きく上がります。制作の本数が多く、素材を映像まで含めて揃えたい企業向けの選択肢です。年間の制作本数を数えたうえで、1本あたりの素材費として見合うかを判断してください。
素材をまとめて揃えるなら
3社以外も含めた条件の違いは、比較記事のほうで各社の楽曲数や価格まで並べています。
企業の動画BGM商用利用のよくある質問
企業の動画に無料のフリーBGMを使っても大丈夫ですか?
無料で配布されているBGMでも、企業や法人の利用を対象外にしているサイトがあります。個人の趣味利用は無料で、企業利用は別途申請や有料という形をとっている配布サイトも珍しくありません。使う前に利用規約の商用利用の項目と、法人利用について書かれた部分の両方を読みます。また、利用報告フォームの提出を条件にしているサイトもあり、動画の本数が増えると手間が積み上がります。
会社紹介の動画は売上に直接つながらなくても商用利用になりますか?
なります。商用利用は、その動画で直接お金を得るかではなく、営利を目的とした活動のなかで使うかどうかで判断されます。会社紹介の動画や採用動画、社内研修の教材はどれも会社の業務のなかで使う映像なので、商用利用として扱うのが基本です。無料で公開しているから個人利用と同じ、という考え方はしないほうが安全です。
担当者が個人名義で契約したまま退職した場合はどうすればいいですか?
まずは公開中の動画で使っている楽曲を洗い出し、契約が有効な期間に公開されたものかを確認します。そのうえで会社名義のアカウントを新しく契約し、以後の動画はそちらで作ります。過去の動画については、契約していた期間と公開日が分かる資料が残っていれば説明の材料になります。請求書やメールの控えが残っていないか、経理や情報システムの部署にも確認してみてください。
展示会のブースで流す映像にも音源の確認が必要ですか?
必要です。展示会での上映は、動画共有サイトへの投稿とは別の使い方として扱われることがあります。不特定多数の来場者に向けて繰り返し流す形になるため、契約しているプランがその用途を含んでいるかを確認します。店舗のサイネージや館内での放映も同じ考え方です。プランの案内に明記されていない場合は、事前に問い合わせて回答を記録に残しておきます。
制作会社に外注する場合、音源はどちらが契約すべきですか?
公開する側である企業が契約を持っておくと、制作会社が変わっても同じ音源を使い続けられます。制作会社が自社のライセンスで音源を入れる場合は、その契約が発注元の企業のチャンネルでの公開まで含んでいるかを見積もりの段階で確認します。どちらが持つにしても、契約の範囲を書面で共有しておくと後から揉めません。
1つのアカウントを部署で共有して使ってもいいですか?
プランで決められた人数を超えて使うことはできません。IDとパスワードを共有していても、規約上は契約している人数分だけが対象です。複数人で動画を作る体制なら、人数枠のあるプランに切り替えます。外注の編集者を含める場合は、その人数も数に入るかどうかを各社の案内で確認してください。
広告として出稿する動画のBGMは追加の条件がありますか?
あります。広告出稿は標準的なプランの範囲外になっている場合があるため、出稿の予定があるなら申し込みの前に確認します。マーケ担当が後から広告に転用すると決めた場合も同じで、その時点でプランが足りるかを見直します。テレビCMや館内放送のように放送に近い使い方は、より上位のプランや個別の見積もりが必要になることがあります。
企業の動画BGM商用利用のまとめ
企業の動画でBGMを商用利用するときは、契約の名義と使う人数と流す場所の3つで範囲が決まります。個人向けの安いプランは契約者本人の動画を想定しているため、会社の公式チャンネルで公開する動画では条件から外れることがあります。
契約は会社名義にして、支払い方法と更新日を経理と共有しておくと担当者が代わっても引き継げます。編集を複数人で分担するなら人数枠のあるプランを選び、外注する場合はどちらが契約を持つかを見積もりの段階で決めておきます。
展示会での上映や広告出稿、社内研修での利用は動画共有サイトへの投稿とは別の扱いになることがあります。動画を作る前に流す場所を洗い出しておくと、公開したあとで条件が足りないと分かる事態を防げます。ライセンス証明書と請求書、動画と楽曲の対応表を共有フォルダに残しておけば、数年後の引き継ぎも一度で済みます。
社内の説明を日本語で通したいならAudiostock、2人のチームで始めたいならEpidemic Sound、証跡を楽曲ごとに残したいならArtlistが候補になります。自社の体制に合うプランを選んで、企業の動画制作を安心して進めてください。
企業の動画に使える音源なら