JASRACと商用利用できる音源の違いは許可をもらう相手
JASRACは、作詞者・作曲者・音楽出版社から著作権の管理を任されている団体です。曲を使いたい人はJASRACに申し込み、使用料を払い、JASRACがそれを権利者へ分配します。つまりJASRACは権利者の代理窓口であって、曲を作った本人でも売っている会社でもありません。
一方の著作権フリー音源は、サービス側が権利をまとめて処理した状態で配っています。利用者がやることはサービスと契約することだけで、曲ごとの申し込みは発生しません。
JASRACは曲そのものを預かる窓口重要度:★★★★★
JASRACが管理しているのは、メロディーや歌詞という楽曲そのものに対する権利です。JASRACは曲そのものの著作権だけを預かる窓口です。誰が歌ったか、どのレコード会社が録音したかは、JASRACの守備範囲の外にあります。
しかも管理は権利の種類ごとに分かれています。コンサートで演奏する権利、CDやDVDに録音する権利、インターネットで配信する権利は別々に扱われ、権利者がどこまでJASRACに預けているかも曲によって違います。
著作権管理団体とは、作詞者や作曲者から権利の管理を委ねられ、利用希望者への許可と使用料の徴収・分配をまとめて行う組織のことです。個人が権利者一人ひとりを探して交渉する手間を省くために存在しています。
著作権フリー音源は契約が許可そのもの重要度:★★★★★
Audiostock(オーディオストック)やEpidemic Sound(エピデミックサウンド)のような音源サブスクは、登録されている曲について権利処理を済ませた上で提供しています。楽曲の権利も録音物の権利もサービス側で束ねてあるため、利用者はプランを契約した時点で使う許可を得たことになります。
ここで誤解されがちなのが「著作権フリー=著作権が無い」という読み方です。実際には著作権は権利者に残っていて、サービスの規約が定めた範囲でだけ自由に使える、という状態を指します。規約の範囲を出れば当然アウトになります。
手続きの有無が最大の分かれ目重要度:★★★★☆
実務で効いてくるのは、使えるかどうかより「使えるまでに何日かかるか」です。JASRAC管理曲は調査と申し込みと支払いの工程を踏むので、思い立ったその日に公開とはいきません。著作権フリー音源は契約済みなら数分で選んで動画に乗せられます。
JASRAC管理曲と著作権フリー音源の違い
| 比べる点 |
JASRAC管理曲 |
著作権フリー音源 |
| 許可をもらう相手 |
JASRAC(権利者の代理) |
音源サブスクの提供元 |
| 手続き |
利用形態ごとに申し込み |
プラン契約のみ |
| 費用の決まり方 |
利用形態と規模で変動 |
月額または年額で固定 |
| 録音物(原盤)の扱い |
別の権利者に要確認 |
提供元が処理済み |
| 使った曲の報告 |
必要な場合がある |
不要 |
| 使えるまでの時間 |
数日から数週間 |
その場で使える |
※2026年8月時点の一般的な運用です。利用形態により手続きは変わります。
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JASRAC管理曲を商用利用する手続きと音源の調べ方
JASRAC管理曲を使いたいときは、いきなり申し込むのではなく順番があります。使い方を決め、その使い方が管理対象かを調べ、それから申し込むという流れです。ここを飛ばすと、申し込んだのに管理外だったり、逆に必要な手続きが抜けたりします。
J-WIDで作品の管理状況を確認する
JASRACは作品データベース検索サービス(J-WID)を公開していて、曲名やアーティスト名から管理状況を調べられます。画面には演奏、録音、配信といった項目が並び、その使い方をJASRACに申し込めるかどうかが分かります。J-WIDでは使い方ごとに管理の有無を確認できます。
委託の範囲は権利者ごとに違うので一括では判断できません。同じアーティストの曲でも、配信は管理されているが録音は管理外、というケースがあります。有名な曲だからJASRAC管理曲のはず、という思い込みで進めるのが一番危険です。
利用形態によって申し込み先が変わる
JASRACの手続きは、音楽を「どう使うか」で入口が分かれます。動画配信者にとって身近なのは配信ですが、企業の広報担当ならイベントでの演奏や展示映像も出てきます。
JASRACの手続きで先に決めること
- 音楽をどこで、どういう形で使うのか
- その使い方が管理対象になっているか
- 使う期間と規模はどのくらいか
- 録音済みの音源を使うのか、自分で演奏するのか
この4つが決まらないと、使用料の金額も申込先も決まりません。逆にここさえ固まれば、あとはJASRACの案内どおりに進められます。
使用料と曲目報告という継続作業
使用料はJASRACの使用料規程で利用形態ごとに定められていて、規模や期間で金額が変わります。単発の動画1本と、毎日更新するチャンネルでは当然扱いが違います。
さらに見落としやすいのが、使った曲を報告する作業です。利用形態によっては、いつどの曲を使ったかをまとめて提出する必要があります。映像編集を請け負うクリエイターにとっては、納品のたびに事務作業が増える形になります。
工程が増えるということは、確認する相手も増えるということです。動画1本あたりの制作時間に、権利の調査と申し込みと報告の時間を足して見積もる必要があります。毎週投稿しているYouTuberなら、この時間が積み上がって本数を落とす原因になりかねません。
事務作業を増やしたくないなら
JASRACの許可だけでは商用利用できない音源がある理由
JASRACの手続きを終えたのに動画に申し立てが届いた、という話は珍しくありません。原因のほとんどは、1曲に対して権利が2種類あることを知らずに進めたケースです。
1曲には楽曲の権利と録音物の権利がある
音楽には、作詞作曲という創作に対する著作権と、それを録音した音源に対する権利があります。後者は原盤権と呼ばれ、レコード会社や制作会社が持っているのが一般的です。歌手や演奏者にも実演家としての権利があります。
原盤権とは、楽曲を録音した音源そのものに対する権利のことです。同じ曲でも、誰がどのスタジオで録音したかによって別々の原盤が存在し、それぞれに権利者がいます。
JASRACが預かっているのは前者だけです。JASRACの手続きだけでは市販の音源は使えません。市販のCDや配信サービスで聴ける音源をそのまま動画に乗せるなら、市販の音源は原盤の許可も別に必要になります。
自分で演奏すれば原盤の問題は消える
逆に言えば、自分で歌ったり演奏したりして録音すれば、その録音物の権利は自分のものになります。歌ってみた動画や弾いてみた動画が成立するのはこの理屈です。この場合はJASRAC側の手続きだけで筋が通ります。
ただし演奏の難易度と収録の手間は残ります。VTuberが配信の合間にBGMを差し替えたい、といったスピード感の要る場面には向きません。
管理団体はJASRACだけではない
日本の著作権管理事業者はJASRACだけではなく、NexToneのような事業者もあります。NexTone管理の曲はJASRACの検索では出てきません。J-WIDで見つからなかったから自由に使える、と判断するのは早計です。
管理外という結果が出ても、それは「JASRACが扱っていない」という意味にすぎません。別の管理事業者にあたるか、権利者本人に直接確認する工程が残ります。
こうした確認を1曲ずつ積み重ねるのは、個人のYouTuberにとって現実的な負担ではありません。だからこそ、権利処理が済んだ音源をまとめて借りるという選択が生まれました。
権利の確認から解放されるなら
YouTubeのJASRAC管理曲と商用利用できる音源の違い
JASRACは、YouTubeをはじめとする主要な動画投稿サービスと利用許諾契約を結んでいます。いわゆる包括契約で、これがあるおかげで投稿者は曲ごとの申し込みをせずに済みます。
包括契約でカバーされるのは自分の演奏
包括契約はプラットフォーム側がまとめて使用料を負担する仕組みです。包括契約が効くのは自分で演奏した場合だけです。歌ってみた、演奏してみた、耳コピしたBGMを自作動画に乗せる、といった使い方が対象になります。
ここで原盤の話が戻ってきます。市販の音源をそのまま流すのは録音物を使う行為なので、包括契約の外側です。カラオケ音源や既成の伴奏データを使う場合も、その音源を作った側の許可が要るかを確認することになります。
自社サイトや自社アプリでの配信は別扱い
包括契約はサービス単位で結ばれています。自社サイトでの配信は包括契約の対象外です。企業の広報担当が自社サイトに動画を置く、会員向けアプリで配信する、といった形は個別の手続きが必要になります。
同じ動画をYouTubeにも自社サイトにも置く、という運用は企業では当たり前です。YouTubeで問題ないから自社サイトでも大丈夫、と考えると足元をすくわれます。
収益化と申し立ての関係
包括契約で投稿できたとしても、権利者が登録した音源データと照合されて申し立てが入ることはあります。申し立ては著作権侵害の警告とは別物ですが、その動画の広告収入が権利者側に回る扱いになります。
申し立てが入ったときにやることは、自分の使い方が許された範囲だったかを示すことです。JASRAC管理曲なら申し込みの控えや使用料の支払い記録、著作権フリー音源ならライセンス証明書や請求書が証拠になります。どちらを選ぶにせよ、使った音源の記録を動画ごとに残しておくと対応が早く済みます。
管理曲で動画を作るときに残る不安
- 市販の音源を使うと原盤側の確認が別に要る
- プラットフォームを増やすたびに条件を調べ直す
- 申し立てが入ると対応が終わるまで収益が止まる
- 企業案件では権利関係の説明資料を求められる
一方、著作権フリー音源はサービスの規約に沿って使う限り、この不安がまとめて外れます。配信先を増やしても、規約の範囲内なら扱いは変わりません。
収益を止めたくないなら
JASRACの許可が要る店舗BGMと商用利用できる音源の違い
音楽の使い方は動画だけではありません。店舗で流すBGM、展示会のブース、社内研修の映像など、企業の広報やマーケティングの現場では場面が一気に増えます。ここでもJASRACと著作権フリー音源の違いがはっきり出ます。
店内で流す行為は演奏として扱われる
お店で音楽を流すことは、その場にいるお客さんに音楽を聴かせる行為です。店内で流す行為は演奏として扱われます。動画にBGMを乗せる行為とは権利の種類が違うため、動画で許可を取っていても店舗では別の手続きになります。
有線放送などの業務用BGMサービスを導入している場合は、事業者側で権利処理が済んでいるのが一般的です。自分で用意したプレイリストを流すのか、業務用サービスを使うのかで、必要な手続きはまったく変わります。
著作権フリー音源でも範囲の確認は要る
音源サブスクなら店舗BGMも自由、と単純化するのは危険です。店舗で流せるかはサービスごとに扱いが違います。動画への利用は明記されていても、店舗での再生や商業施設での放送は別条件になっていることがあります。
動画以外で使う前に規約で見る場所
- 店舗や施設での再生が許可されているか
- 使えるのは契約者本人か、会社の全員か
- クライアントへの納品物に含めてよいか
- 契約が終わったあとに公開済みの物をどう扱うか
企業動画では説明できることが価値になる
企業の広報担当が社内で企画を通すとき、必ず聞かれるのが権利関係です。JASRAC管理曲を使う案では、申請、使用料、報告という工程を説明することになります。著作権フリー音源なら、契約書と利用規約を示すだけで済みます。
映像制作を受託するクリエイターにとっても同じです。納品先から権利の裏づけを求められたとき、サービスの契約内容をそのまま提示できるかどうかは、案件の進み方を左右します。
案件で説明しやすい音源なら
JASRACの手続きが要らない商用利用OK音源の選び方
JASRACの手続きが不要になるのは、その音源が管理団体に預けられていないか、サービス側で権利処理が完結しているからです。音源サブスクなら申請と曲目報告がゼロになります。ここから先は、どのサービスが自分の使い方に合うかという話になります。
権利の処理がどこまで済んでいるかを見る重要度:★★★★★
まず確認したいのは、提供元が楽曲と録音物の両方を処理しているかです。音源サブスクの多くは両方をまとめて許可する形をとっているため、利用者が原盤を別に探す必要はありません。
なお、曲を作ったアーティストが海外の管理団体に登録していることもあります。Artlist(アートリスト)のように、アーティスト側の登録があっても利用者のライセンスには影響しないと案内しているサービスもあります。気になるときは規約のライセンス条項を読むのが確実です。
使える範囲がプランで変わる点に注意重要度:★★★★★
同じサービスでも、プランによって商用利用の範囲が変わります。安いプランは本人の個人利用に限定され、クライアント案件や複数チャンネルでの利用は上位プランから、という設計が一般的です。
選ぶときに効いてくる判断材料
- 商用利用が認められる最小のプランはどれか
- 使う人数はチームか、契約者本人だけか
- BGMだけでなく効果音も同じ契約で使えるか
- 日本語で規約とサポートを読めるか
用途別に候補を絞る重要度:★★★★☆
本人のチャンネルだけで使うYouTuberやVTuberなら、まず月額の安いプランで足ります。受託の映像編集や企業の広報動画なら、クライアントへの納品を許可しているプランを選ぶ必要があります。
音源サブスク7社の商用利用と規模
※2026年8月時点。海外サービスは1ドル150円で換算した目安です。プランと条件は変更される場合があります。
Soundstripeは個人向けの安いプランだと使える範囲が狭く、実務ではPro以上が基準になります。値段の並びだけで選ぶと、契約したのに案件で使えないという事態になりかねません。
迷ったときの目安
規約もサポートも日本語で確認したいならAudiostock、海外向けの映像で世界観を作り込みたいならEpidemic SoundやArtlist、映像テンプレートまでまとめて欲しいならEnvatoやMotion Arrayが候補になります。
用途に合う1社を選ぶなら
JASRACと商用利用できる音源の違いでよくある質問
JASRACに使用料を払えば、市販のCD音源を動画に使えますか?
使えません。JASRACが扱うのは楽曲そのものの権利で、録音された音源に対する原盤権は管理の対象外です。市販の音源をそのまま使うなら、レコード会社など原盤の権利者への確認が別に必要になります。自分で演奏して録音すれば、この確認は不要になります。
J-WIDで見つからない曲は自由に使ってよいのですか?
その判断は危険です。J-WIDに無いのは「JASRACが管理していない」という意味であって、権利が無いという意味ではありません。NexToneのような別の管理事業者が扱っている場合もありますし、権利者が自分で管理していることもあります。見つからなかったときこそ、権利者本人への確認が必要になります。
YouTubeなら管理曲を自由に使えるのではないですか?
JASRACはYouTubeなどの投稿サービスと利用許諾契約を結んでいるため、自分で演奏や歌唱をした動画については個別の申し込みが不要です。ただし市販の音源をそのまま流す行為は対象外で、その場合は原盤側の許可が要ります。自社サイトや自社アプリでの配信も、この契約の範囲には入りません。
著作権フリー音源なら、どんな使い方でも大丈夫ですか?
サービスの規約が定めた範囲でだけ自由に使える、という意味なので無制限ではありません。プランによっては本人の利用に限定されていたり、クライアントへの納品が上位プランからだったりします。店舗での再生や商業施設での放送は別条件になっていることも多いため、動画以外で使うときは規約を読み直すのが安全です。
音源サブスクの曲はJASRACに登録されていないのですか?
音源サブスクで配られている曲は、サービス側で権利処理を済ませた状態で提供されています。アーティストが海外の管理団体に登録しているケースもありますが、その場合でも利用者のライセンスには影響しないと案内しているサービスがあります。契約前にライセンス条項を確認しておくと安心です。
会社の広報動画で使うとき、どちらを選ぶべきですか?
社内で企画を通す場面まで考えると、著作権フリー音源のほうが説明しやすくなります。契約書と利用規約を示せば権利の裏づけになるためです。JASRAC管理曲を使う場合は、申請と使用料と曲目報告という工程を担当者が担うことになり、公開までの日程にも影響します。
店舗のBGMに音源サブスクの曲を使えますか?
サービスによって扱いが分かれます。店内で音楽を流す行為は動画にBGMを乗せる行為とは権利の種類が違うため、規約で店舗や施設での再生が認められているかを個別に確認する必要があります。業務用のBGMサービスを導入している場合は、そちらの事業者側で処理されているのが一般的です。
JASRACと商用利用できる音源の違いまとめ
JASRACは作詞者や作曲者から権利を預かる窓口で、扱っているのは楽曲そのものの権利だけです。市販の音源を使うなら録音物の権利者への確認が別に残り、管理事業者もJASRAC以外に存在します。手続きは調査、申し込み、支払い、報告という流れで、公開までに時間がかかります。
著作権フリー音源は、提供元が楽曲と録音物をまとめて処理した状態で配っているため、契約そのものが許可になります。申請も曲目報告も発生せず、選んだその日に動画へ乗せられます。ただし規約の範囲を超えれば使えなくなる点は変わらないので、プランごとの商用利用の条件と、動画以外で使うときの扱いだけは先に読んでおきたいところです。
本人のチャンネルで使うYouTuberやVTuberなら安いプランで足ります。受託の映像編集や企業の広報動画なら、納品と人数の条件を満たすプランを選ぶことになります。まずは自分の使い方に近いサービスを1つ試して、規約の書き方が読みやすいかどうかまで確かめてみてください。
手続きなしで音源をそろえるなら